伝説を持つ時計 質屋 マルニシ質店
伝説を持つ時計コラム

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 機械式の時計が発明されたのは、13世紀といわれています。その後、改良が加えられ精度の向上と小型化が図られました。そして20世紀になって本格的な腕時計が製作され、1969年にはクォーツ時計が生れました。こうした時計の進化の中で、歴史にのこる名機がいくつも生れ、伝説が語りつがれています。
 このコーナーではそうした名時計を解説させていただきます!

第35回 ハミルトンベンチュラ 

ハミルトン 一目みたら忘れられない時計というのは何本かありますが、このハミルトンのベンチュラはその代表格でしょう。時計のケースは丸型や長方形などが一般的で、その他に樽型(トノー)、クッション、8角形などの特殊形状もありますが、どれも基本的に左右対称の形をしています。 しかしこのベンチュラは三角形を横に使うという、常識とかけはなれた左右非対称のケース形状でした。現代であればそれほど奇抜には思われないかもしれませんが、この時計はなんと1957年につまり半世紀も前に発表されているのです。また、この時計は世界初の電池式エレクトリック時計(制御方法は今のクォーツ式とは異なる)でもあり、時計史上の大革命となったのです。この左右非対称の独創的なフォルムは、アメリカインダストリアルデザインの鬼才と呼ばれた、リチャード・アービブによるもので彼が同時期に手がけた59年型キャディラックのフィン型テールランプにデザインモチーフが似ています。1900年代、腕時計部門に進出したハミルトンはヨーロッパ時計ブランドの追従ではなく、まったく新しいスタイルを目指し、アメリカそのものを時計で表現する道を選びました。伝統という約束事に縛られないアメリカの風土はハミルトンに限りない自由を与えました。1930〜40年にかけて発表された、ダットソン、ボルトン、ベネトン などのモデルは当時建築からファッションまで大流行したアールデコデザインを大胆に取り入れています。そして1950年代のアメリカ、後に「フィフティーズ」回顧される、アメリカンドリームが最も身近にあった時代にベンチュラが発表されます。そしてベンチュラは「フィフティーズ」を謳歌するヤンキー達に驚きと憧れをもって迎え入れられました。
  さらにベンチュラを有名にする出来事が1961年に起こります。映画「ブルーハワイ」の中で、エルビス・プレスリーが着用したのです。今でこそTVドラマや映画は商品PRの恰好の場所として使われていますが、当時はそのような発想は無く映画監督が純粋にプレスリーにふさわしい時計としてこのベンチュラを小道具として選んだのですが、プレスリーはベンチュラを大変気に入り撮影終了後も自ら購入して永く愛用していた話はあまりにも有名です。また映画「メン・イン・ブラックT」の中で、ウイル・スミス とトミー・リー・ジョーンズが エイリアンハンターの標準装備の1つとして着用したときは、映画公開後、ベンチュラ売り切れの時計店が続出しました。余談ですが、「メン・イン・ブラックU」ではやはりハミルトンのデジタル時計パルサー(復刻版)が使用されました。このほかにも「2001年宇宙の旅」で未来の宇宙飛行士がする、映画専用にデザインされた時計X01が、2006年に限定2001本で発売されています。ほかにも、チャーリーズエンジェル、オーシャンズ11、スパイダーマン2など、多くのハリウッド映画に、ハミルトンの時計が採用されています。そして、ベンチュラはアメリカ産業の金字塔として、そのマスターピースがスミソニアン博物館に展示されています。現在は、クロノグラフ搭載のものや文字盤にダイアの入ったもの、ブレスタイプなど、ラインナップも充実しています。また、2007年にベンチュラ50周年を記念して、初めて自動巻きモデルが限定1957本で発売されます。

当店ではハミルトン ロイドを扱っております。


第34回 シチズン パーフェックス

 伝説の時計で紹介してはいますが、シチズンにパーフェックスという機種はありません。パーフェックスとは、「JIS種耐磁」「衝撃検知機能」「針補正機能」という3つの機能を持たせることより正確な時刻を表示するフルメタルでエコドライブを搭載した電波時計の事で、エクシード、アテッサ、クロスシー、プロマスターの高級機種に搭載されています(時計の豆知識 31回 標準時と電波時計でも触れています。ページはこちら)。
 シチズンは1970年代に機械式時計の生産を打ち切り、クォーツ、デジタル式時計に特化してきましたが、他社との差別化をするため革新的技術の開発に全力を注いできました。1976年に世界初のアラーム付デジタル時計を発売したのを皮切りに、エコドライブの基礎となった太陽電池充電式や電卓付など次々に新技術を発表し、クォーツ、デジタル時計部門で、技術のシチズンの名を不動のものにしました。電波時計の開発には1989年から着手して、1996年には世界初エコドライブ搭載の電波時計を発表しています。現在では、エコドライブ搭載の電波時計は普通のクォーツ時計とデザインや大きさなど全く同じになっていますが、当初は電波受信アンテナがあまり小型化できず、左側に大きくはみ出した左右非対称のデザインでした。また、エコドライブ用2次電池の容量確保のため、厚みも大きく、文字盤も太陽光を通さなければならないため、文字盤の色や装飾デザインが限られていました。また、電波の受信を確実にするため、本体の一部にプラスチックを使用していました。しかし、色やデザインを自由にできながら透過光の多い文字盤や低消費電力のムーブメントの開発、容量を変えずに2次電池のコンパクト化、受信アンテナの小型化、高性能化を実現し、ムーブメント径で世界最小、世界最薄(時計完成品厚7mm以下)、フルメタルボディを達成しています。
  そしてシチズンはここで終わらず、より正確な時刻を表示することを追求しました。 普通、電波時計は常に正確だと思いがちですが、実は電波時計は1日のうち1〜2回決められた時間に自動的に、もしくは任意の時間に手動で標準電波を受信して、時間を補正するもので、電波受信していない時に、磁気の影響や、衝撃により時間が狂ってしまうことがあります。そこでシチズンはエコドライブ電波時計にまず、高い耐磁性能を持たせました。耐磁性能とアンテナの電波受信能力は、実は相反するものなのですがシチズンはムーブメントの片側に時刻調整機能を集約して耐磁ケースで覆い、その反対側にアンテナを配置することにより、アンテナ内蔵型電波時計では難しいとされていたJIS1種耐磁(直流磁界4800A/mに耐えられる水準)を実現しています。 また、衝撃検知機能により、外部からの衝撃を検知してICにより秒針を制御して、針ずれを防止するようにしました。さらに、それでも何らかの原因で狂ってしまう可能性を考慮して、センサーにより60秒ごとに針位置を検出して、IC内部の時刻カウンターとずれていた場合は、瞬時に補正をかけるようにしました。 この結果、電池の交換の必要がなく、正確な時刻を常に表示し、万が一狂ったとしてもすぐに補正される、まさにパーフェクトな腕時計となりました。 また、ケース、ブレスに関しても、デュラテクトというシチズン独自の特殊表面処理を施すことによって、SS素材で通常ビッカース硬度 Hv200程度のものを、Hv1000以上に高めることにより、傷をつきにくくしています。
 国産クォーツ時計というと、大量生産の安物のようにみられがちですが、こうした付加価値の非常に高い時計もあります。海外ブランドものばかりでなく国産ブランドにも今一度目を向けてみてはいかがでしょうか。

シチズン時計ホームページはこちら

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第33回 ロレックス ミルガウス

 ロレックスは2000年に新型デイトナを発表して以来、サブマリーナやGMTマスター等、モデル発表50周年を記念して限定モデルを出したり、定番のデイトジャストに新型ケースを採用し、ブレスを無垢にするなど市場に新型 モデルを投入し続けてきました。そして2007年のバーゼルフェアで、ついに伝説の「ミルガウス」が復刻しました。
「ミルガウス」はもともと、物理学者や電気技師など磁力の影響を受け易い環境で働く人をターゲットに して1958年に誕生しました。特殊な耐磁素材でムーブメントを覆い、当時としては画期的な8万A/m(1000ガウス)の磁界に耐える特殊時計でした。 しかし、当時は現在ほど身の回りに磁気を発生するものが無く需要も限られたため、生産本数が少なく80年代後半に生産中止になってしまいました。しかし、そのため希少性が上がり、アンティークロレックスの中では「デイトナポールニューマンモデル」と並んで高値で取引されており、 特にイナズマ型秒針を有する初期型は当時の価格では20万円ほどでしたが、コンディションがよければ800万円以上の値段がつくこともありました。
 今回ロレックスが復刻した「ミルガウス」ですが、デザインは基本的に旧型を踏襲していますが当然のことながら最新の技術が投入されています。旧モデル発売当初は需要が少なく、一般の人にはあまり受けいれられなかった「ミルガウス」も現代では違います。我々の周囲には、携帯電話やパソコン、スピーカー、TVなど強力な磁気を発生する機器が溢れ、また車の電動シートなど、意外と気が付かないところにも磁気を発生するものが多くあります。そのため、現代では一般の人であっても耐磁時計が必要になってきているのです。 耐磁時計の基本構造である、ムーブメントを耐磁合金のインナーケースで覆うという方法は変わっていませんが、時計の精度にもっとも関わってくるヒゲゼンマイに新素材「パラクロム」を採用しています。 通常、ヒゲゼンマイは耐磁性を向上させると、温度変化による誤差が大きくなってしまい、温度変化の影響を受け難くすると耐磁性が落ちてしまいます。 しかし、この「パラクロム」は、ニオビウムとジルコニウムを使用することにより、耐温度変化性を低下させずに耐磁性を向上させることに成功しています。このヒゲゼンマイはすでに、新型デイトナのムーブメントに採用され、実績があります。
  また、耐磁時計復刻の理由は他にもあります。 ムーブメントをインナーケースにいれることにより、時計ケースのサイズがどうしても大きくなってしまいますが、1980年代は時計はとにかく、薄く、軽く、というのが流行であったため、 厚く、重い耐磁時計は受け入れられませんでした。しかしここ数年の「でか厚ブーム」により、市場が直径40mmを越える大きめの腕時計を普通と考えるようになってきたため、一般の人にも抵抗なく耐磁時計が受け入れられるようになり、それが次の新製品を模索していたロレックスの思惑と一致したのです。
  新生「ミルガウス」は、全体のスタイルはセカンドモデルを、細部のディテールはファーストモデルを踏襲し、特に「MILGAUSS」のロゴと秒針のオレンジ色のイナズマ針は、マニアにとって涙物です。 また、復刻記念モデルは、風防の サファイアガラスにロレックスのイメージカラーのグリーンがあしらわれており、発売前からプレミアが付きそうな勢いです。


第32回 ロジェ・デュブイ アクア・マーレ

 ロジェ・デュブイは1995年に時計師ロジェ・デュブイ氏が自らの名を冠して 最高級の時計製作のみを行うマニュファクチュールとして誕生しました。 デュブイ氏はジュネーブ時計学校を卒業後、ロンジンに入社し弱冠22歳でなんと、パテックフィリップ社の機械式複雑時計部門の技術責任者として向えられました。その後、36歳で母校の教授として後進の育成にあたり、1980年には時計師として独立しました。アンティーク複雑時計の修理、復元を多く手がけ、程なく老舗ブランドからクランドコンプリケーション用の ムーブメントの製作依頼が入るようになりました。そして1995年、複雑系ムーブメントのマイスターとしての地位を確立したデュブイ氏は、58歳にして、自らのブランドを立ち上げ創作活動に入りました。
ロジェ・デュブイ  デュブイ氏は「伝統に立脚した芸術的な時計製作」をスローガンに、すべての時計にジュネーブに伝統的に伝わる製作、仕上げ技法を取り入れて製作します。ロジェ・デュブイの時計はすべて高い完成度を誇り、スイス、ジュネーブ州が認定する「ジュネーブシール」を製造する全ての時計に刻印することを許されている唯一のブランドです。もちろん、パテック・フィリップやヴァシュロン・コンスタンタン等でも「ジュネーブシール」を刻印しているモデルはありますが、製造する時計全てではありません。 「ジュネーブシール」は精度を保証する だけではなく、ジュネーブ州内で製造されたものであることと、パーツの構造、仕上げの仕方など細かなところまで規定が厳格に決められており、またクォーツ時計は対象外となっているためジュネーブ州以外に工場を持っていたりクォーツ時計を製造しているブランドは、それだけで製品全てに「ジュネーブ シール」を付けることができないからです。 (但し、パテック・フィリップの機械式時計には全て 「ジュネーブシール」が付きます) ロジェ・デュブイは基本的に1モデルにつき、28本までしか製造せず、殆ど手作り同然であるため可能なのです。この28本というちょっと中途半端な数ですが、デュブイ氏は少数限定生産ということで、欧米で最小生産単位である25本にしようとしていたところ、工房を訪れた顧客の1人であるマハラジャの意見により、東洋のラッキーナンバーである8と組み合わせて、28本としたと言われています。
  ロジェ・デュブイの時計は、そのケース形状によりシリーズ 名が決められています。一番ベーシックな円型は「オマージュ」、円と正方形を組み合わせたものは「シンパシー」、縦長は「マッチモア」、横長が「トゥーマッチ」 そして正方形が「ゴールデンスクエア」と呼ばれています。そして、この「ゴールデンスクエア」をベースとして誕生したのが、「アクア・マーレ」です。ケースはSS素材で、手首に合うように湾曲しており、裏側はスケルトンになって機械が覗けるようになっていながら、300m防水を実現しています。リューズはねじ込み式を採用し、さらにその上からリューズガードキャップを被せるしくみになっていますが、デザイン上の大きなアクセントになっていますが、リューズが完全にねじ込まれていなければ、閉まらない様になっており締め忘れ防止の配慮もなされています。ベルトはウレタン素材で「ゴールデンスクエア」では尾錠方式だったのをバックル方式に換えることにより脱着を容易にしています。文字盤はカーボンで、アールデコ調の市松模様と放射線状のラインを立体的に使い、それに合わせた“回転しない”四角の回転ベゼルが取り付けられているところが、圧倒的な個性を放っています。価格は180万円で、この時計をしてダイビングする勇気のある人がいるかは疑問のあるところですが付けていれば目立つこと間違いなしです。また同時期に「シンパシー」をベースにした「イージーダイバー」も発表されており、こちらはちゃんと回転する逆転防止ベゼルを装備しています。

ロジェ・デュブイのホームページはこちら


第31回 オメガ シーマスター アプネアマイヨール

 オメガシーマスターといえば、ダイバーウォッチの代名詞として広く知られており、スピードマスターと並ぶオメガの主力機種です。自動巻きやクォーツ式、 サイズや文字盤の色、性能、機能の異なる様々な機種と、限定モデルなど、多数リリースされており、価格帯も10万円代からあるので、時計所有率として、数あるダイバー時計の中でNo1を誇ります。
  シーマスターは発売当初は、日常防水機能程度しか有していませんでしたが、1955年、ロレックス初代サブマリーナとほぼ同時期に、「シーマスター300」という、当時としては非常に高い200mという防水性能を持った時計を発表してから飛躍的に進歩しました。その高い防水性能が、イギリス海軍の目にとまり、正式採用されることにより、本格的な防水時計として、世界中に認知されるようになりました。さらに、1970年代に、石油会社が実施した海底油田探査「ヤヌス計画」にワンピースケースの「シーマスター600」を提供し、深海250mで8日間、ダイバーの活動をサポートしたが、故障1つ せず、驚異的な防水性能と耐久性を示したことにより、本格的プロダイバー時計の地位を確立しました。また余談ですが、シーマスターは映画「007」 シリーズで歴代ジェームズ・ボンドの秘密兵器としても何度も登場しています。特にピアーズ・ブロスナンのボンドが使用している、ヘリウムエスケープバルブ搭載のシーマスタープロダイバーズ300は、レーザー光線が出たり、ワイヤーロープが出て、壁によじ登ったりと、ものすごいことになっています。
オメガ シーマスター  そして、81年、伝説のプロダイバー、ジャック・マイヨールがオメガシーマスターと出会いました。マイヨールはその年、イタリア、エルバ島沖で無呼吸潜水101mという当時の世界記録を樹立しましたが、その時使用して いたのが、「シーマスター120」でした。 このモデルはマイヨールが視認性の高い文字盤と、十分な防水性能を求めたマイヨールが、オメガと共同開発した機種でした。 その後、オメガはジャック・マイヨールの限定モデル(現行のシーマスターをベースに文字盤を限定用に変更したもの)を 95年から毎年リリースしますが、2001年、マイヨールが亡くなり、2002年モデルを最後に、途絶えています。そして、マイヨールが生前、一目で潜水経過時間が把握できる特殊なカウンター付モデルの開発を依頼しており、それにより、2003年に発表されたのが、このシーマスター アプネアマイヨールなのです。
  アプネアとは、無呼吸潜水つまり素潜りの意味で、文字盤には7つのカウンター窓があります。 この窓は、クロノグラフを作動させると、1分に付き1つの窓は 赤く変わってゆき、ひと目で時間経過が分かるようになっています。7つの窓、すなわち7分間とは、人間が息を止めていられる限界時間といわれて おり、それ以上呼吸をしないと、酸素不足により脳に重大な障害が起きる可能性があるということです。また、深海に潜って、浮上する場合、潜水に要した 時間よりも多くの時間を掛けないと、深海の高圧により血液中に溶け込んだ窒素が急激に膨張して血管、特に肺で障害を引きおこすいわゆる「潜水病」に なってしまうため、限界時間を把握することは命にかかわってきます。映画「グランブルー」はジャック・マイヨールをモデルにしていますが、 主人公のライバルに扮するジャン・レノが限界を越えた無酸素潜水を行い、世界記録を更新したあと、深海に沈んで行く姿と、ラストシーンの夜の海で主人公が死を覚悟してたった1人で、同じ深度に挑んで行く姿がとても印象的でした。海がとても奇麗ですので興味のある方は、ご覧になって みてはいかがでしょうか?

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