第4回  グランド コンプリケーション

最近グランドコンプリケーションという言葉を耳にしますが、皆さんは何のことだかご存知でしょうか?
時計業界では、重要な発明とされる複雑機能が6つあります。機械式時計でこの6大複雑機能のうち3つ以上搭載している時計をグランドコンプリケーションと呼びます。

6つの複雑機能とは以下のものになります。
1. ムーンフェイス:月の満ち欠けを表示します。 多くの場合、扇形の窓と月の絵を描いた円盤の回転で表示しますが、中には宝石をあしらった球体が回転するゴージャスなものもあります。

2. スプリット セコンド クロノグラフ:単なるストップウォッチではなく1回目の時間計測を行ったあと、その表示を残したまま別の針で2回目の計測を継続して行う機能です。 レースで周回ラップを測るとき便利です。

3. ミニッツ リピーター:ボタンを押すと、音で現時刻を教えてくれる機能です。 音の音色と鳴る回数で時刻を判断します。 もともとは暗闇の中でも時刻を把握するために発案されたもので、機械式ではゴングを内蔵して、それをハンマーで叩く方法がとられます。

4. 永久(パーペチュアル)カレンダー:大小の月の日数に対応して全月末の翌日に自動的に1日を表示でき、閏年調整のため4年に1度動く表示が付加されたカレンダー機構のことです。 通常2100年まで無調整で対応できるものを指します。

5. ウルトラスリム:全パーツが極薄いケースに組み込まれたムーブメントのことです。 明確な基準はないようですが、厚さが4mm以下のものを指すようです。 しかし、ここまで薄くすると、他の複雑機構を組み込むことが難しいため、グランド コンプリケーションには殆ど使われません。ウルトラスリムの代表格として、ブランパンのキャリバー21が有名ですが厚さはなんと1.7mmしかありません。

6. トゥールビヨン:脱進調速機(テンプとガンギ車、その他の歯車を組み合わせたもの)を1つのかごに収め、それ自体を一定の速度で回転させることにより、時計の姿勢によって生じる重力差でテンプの振動が変化するのを平均化させて自動補正する複雑機構です。6大複雑機能の中で最も製作が難しく、トゥールビヨンを組み込んだ時計は数百万~数千万円するものもあります。 トゥールビヨンはフランス語で渦巻きを意味します。

機械式のグランドコンプリケーションは、その複雑さゆえ量産が難しく価格も50万円~数千万円と非常に高くなります。 最近は、クォーツ式でムーンフェイス、スプリット セコンド クロノグラフ、ミニッツ リピーター、永久(パーペチュアル)カレンダーの4つを組み込んだクォーツ式グランドコンプリケーションも発売されており、数万円代で入手することもできます。デザイン的にも色々凝った時計が発売されていますので、ブランドにこだわらず、探してみてはいかがでしょうか? 思わぬ掘り出し物にめぐりあえるかもしれません。